ブラック企業の見分け方

「ブラック企業」という言葉は、ここ何年かで急速に定着してきた感がある。
あんまり会社で働いた経験の少ない自分が言うのも何だけど、
会社員でなく、一歩引いた立場から見てみると、何となく見分け方は分かる気がする。

 

 

■ブラック企業は構造的な問題
 
ブラック企業というと、すぐに経営者の人格的な問題や、いかにも非道なことをしているような雰囲気があるけど、実際には経営者も自ら望んでブラック企業にしたいと思う人は殆どいないと思う。

 

ブラック企業の根本的な問題は『過当競争』にあると思う。
過度な競争により、人件費を抑えないと成り立たないビジネスになり、
労働環境が悪化していく。

 

例えば、他の会社よりも「圧倒的に安い価格設定」をしているような会社は、
よほど生産効率の良い仕組みにしない限り、人件費を抑えて価格を安く維持しなければいけない。
当然価格を上げればモノ・サービスが売れなくなるので、価格を上げることは出来ない。
売上を伸ばしていくには、「人件費を抑えつつ、沢山のモノ・サービスを売る」必要が出てくる。
そのため、一人一人の労働時間が増えたり忙しさは増していくが、
給料アップや人員増加をすれば利益が出なくなり、ビジネスとして成立しないので、
いつまで経っても労働環境は改善されない。

 

そもそものビジネスモデルが薄利多売のため、人件費をある程度犠牲にしなければ、成り立たないというのが、経営者の本音ではないだろうか。

 

世間からブラック企業とされている会社も、
・価格競争の激しい業界(外食産業・小売など)
・単価の安いモノ・サービスを扱っている(薄利多売)
・一般的な平均給与の低い職種
・価格以外に差別化が難しい業種

 

この辺の条件が当てはまってくると思う。

 

 

 

■見分け方
 
いわゆる「薄利多売」や「価格破壊」で成り立っている会社は経営者が望む、望まないに関わらず、「ブラック企業」になりやすい(陥りやすい)。

 

会社を選ぶ時に、ビジネスモデルや価格設定を調べて、どのようにして商売として成り立っているかを知る事ができれば、何となく労働環境は把握できるのではないか。
(外側からでは価格の分からないBtoBの会社だと難しいけど)
労働者の目線ではなく、経営者の目線で会社を見れば、”多少は”見えてくるかもしれない。

 

 

 

■働いてみないとわからない部分も多い
 
身も蓋もないけど、結局は働いてみないと分からない部分が多いよね(笑)
会社から出す情報(採用情報)や、ネットの情報など、限られた情報から全てを判断するのは不可能で、
「規模の小さい会社」であれば、判断する材料はほとんど無いと言っても良い。

 

「働いてみて、自分に合わない・割に合わないと思ったら辞める」くらいの気持ちで、飛び込んでみるというのも一つの手である。
長く一つの会社で働くことに凄く価値がある時代でも無いし、向上心があれば短期間でも学べることはあるかもしれない。それを次の仕事で活かしていけば良いと思う。

 

 

 

■基本的に、給料が高ければ労働環境はあまり問題ではない
 
ブラック企業と言われる会社で、
・残業が多い
・パワハラ等、不当な扱いを受ける
・離職率が高い

 

など、労働環境が問題となる場合も多いけど、
「働きに見合った報酬が得られる」場合は、
あまり労働環境の良さは問題では無いかなとも思う。

 

例えば、金融やコンサルティングといった業種は一般的に給料が高く、
残業も多く、離職率も高く、クビにもなりやすいかもしれないけど、
その分給料も高いので、多少キツくても「割に合っている」ということだろう。

 

さらに極端な例を挙げれば、
・プロスポーツ選手
・タレント
・政治家

 

これらの仕事は、「いつクビなるか分からない」完全実力主義&弱肉強食の世界だけど、
その分報酬ややりがいも大きいので、「ブラック」には全く当てはまらないだろう。
(そもそも会社員ではないのであんまり比較にはならないだろうけど)

 

 

 

■需要と供給がある限り、ブラック企業は無くならない
 
社会的に「ブラック企業」という言葉が定着し、
労働環境(ブラック企業であるか否か)が「会社を選ぶ理由」になることも多くなってきたので、
今後ブラック企業は少なくなっていくかもしれないが、
「安くて悪い労働環境でも働く労働者」と「人件費を削減して利益を出したい雇用主」の需要と供給のバランスが取れている以上、無くなることは無いと思う。

 

給料や労働環境を良くしないと人材が集まらなくなり、ブラック企業が自然と無くなっていく事が理想ではあるのだけど、ここ20年以上不景気の続く日本でそんな事が起こるとも思えないし。

 

 

 

■労働者の自己防衛は労働価値を上げること
 
結局、労働者が「ブラック企業」から自分の身を守るには、「他の会社へ行っても通用するスキルを身に付ける」ことしかないのではないか。
「辞めても他でやっていく自信の無い」人は、どれだけ給料が安くて労働環境が悪くても会社から離れることは出来ないし、経営者から見れば給料を上げる理由も見当たらないかもしれない。

 

自ら考え、行動していける人間は、会社にとって価値が高く、他に行ってほしくないので、給料も上がっていく可能性が高い(上がらない場合は、他へ行けば良い)。

 

スキルが上がれば、「クビになっても怖くない」「いつでも他の会社へ行っても良い」状態になるので、思い切ったチャレンジや、強気で雇用主に対峙していくことも出来るようになる。

 

スキルと一言で言っても様々で、
・ITのような専門性の高いスキル(技術系)
・営業のスキル、接客のスキル(営業系)
・人を集めたり、動かしたりするスキル(管理系)
・お金に関するスキル(経理or経営)
・語学のスキル

 

など、人によって様々で、自分の得意なことを伸ばしていけば良いと思う。
スキルなんて何でもよくて、「社内の雰囲気を良くしてくれる明るいムードメーカー」というのも、立派なスキルだし、希少性の高いスキルであればあるほど、雇用主から見れば替えの効かない存在になり得る。

 

 

 

■社畜という言葉は嫌い
 
社畜という言葉も自虐的な意味で多く見られるようになってきたけど、この言葉は嫌いだなあ。
自ら勝手に柵を作って、その中に入っているだけのようにしか見えない。

 

原則として、
「雇用主(会社)は労働者を選ぶことが出来る」
「労働者は雇用主(会社)を選ぶことが出来る」
ので、

 

「嫌なら辞めればいい」
この結論で済むはずである。

 

日本の企業だけでも、全部で421万社あるらしい。
58%が個人事業主で、法人は42%の178万社。(中小企業庁のデータ)
http://www.meti.go.jp/committee/chuki/kihonseisaku/pdf/001_05_00.pdf

 

世界で見れば、星の数ほど企業はあるだろう。

 

突き詰めて考えれば、企業や職業を選ぶ理由なんてほとんどが偶然の積み重なりの結果で、「絶対にこの会社にいなければいけない理由」なんてあんまり無いよね。

 

働く人にとって、働く会社は選ぶ権利があるし、選べるようになるには他の会社から必要とされる人材にならなくてはならない。
「向上心を持って、自ら考え、行動していく」事が出来れば、きっと良い方向に向いて行くと思う。
逆に、世の中にいかに「向上心が無く、自ら考えない、行動しない」人が多い事を考えれば、「向上心を持って、自ら考え、行動していく」人の価値は今後もあんまり下がらないのでは。

 

 

 

■補足:ベンチャー企業について
 
ベンチャー企業は基本的にブラック企業だと思う(笑)
労働時間は長くて、福利厚生もないだろうし、給料も安いかもしれない。
潰れる可能性も高い。
ただし、会社が大きくなれば創業初期のメンバーとして大きな恩恵に預かれたり、
経験を活かして起業することも可能なので、ハイリスクハイリターンで、
積極的にチャレンジしていきたい人に向いている環境かもしれない。

 

ベンチャー企業は社会にとっては「小さな芽」であり、大きな木になるかもしれない可能性を持っているので、あんまり「ブラック」といって叩いて「芽を摘んでしまう」と、面白く無いと思うので、大目に見てあげることが必要かなと思う。

 

『安心・安全』ばっかりじゃ、世の中全てが凡庸になって面白く無いよね!

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